EVENT
伊豆ぽたで行く南伊豆サンクリングトリップ 2022 vol.1
2022.07.09

伊豆ぽたで行くJU-ZA南伊豆サンクリングトリップ
~伊豆急オモシロ駅長と巡るジオスポット~

7月9日〜10日、スルガ銀行さんプレゼンツ、「伊豆ぽたで行くJU-ZA南伊豆サンクリングトリップ~伊豆急オモシロ駅長と巡るジオスポット~」イベントが行われました。伊豆急行株式会社さんが下田駅と伊豆高原駅でおこなっているレンタサイクル事業「伊豆ぽた」を利用し、電動アシスト自転車でより気軽に南伊豆のサイクリングをする企画です。美しい海岸線を走って、観光や食事も楽しみつつ、JU-ZAで自転車と体の充電を兼ねて宿泊。翌日は道の駅や竜宮窟に立ち寄りながら下田駅に戻る。そんな盛りだくさんな内容です。

自転車はまだまだ初心者のJU-ZAのメンバーが、今回のイベントの様子を一参加者としてレポートします。

※二日間の詳細な行程は10月の第2回イベントの告知ページに記載されている内容と同じです。(ご参加お待ちしております!)

 

 

7月10日
10時 伊豆急下田駅に集合

ダイビングショップや釣り船ツアーの看板を持った迎えの人で混み合う下田駅の中、「伊豆ぽた」の看板の元に全員集合。下田はあいにくの雨模様。みなで雨雲レーダーと睨み合い、ライドは予定通り実施することに決まる。

まずは今回ペースメイカー&ガイドとして一緒に走行してくれるリンケージサイクルの田代さんから、自転車のフィッティングとヘルメットの使い方のレクチャーを受ける。こうして基礎からしっかり教えてもらえると、自転車初心者でも戸惑わずに参加できそう。

田代さんから開会の挨拶に続き、参加者の自己紹介。一般参加のお客様、今日のジオガイドを務めてくださる伊豆おもしろ駅長の斉藤さんなど計7名で南伊豆を走る。今回は各チェックポイントでSNSの投稿をしながら走るという企画なので、そのアップの仕方や、ライドの注意事項(自転車走行のルール、水分補給についてなど)を確認する。伊豆新聞さんが取材に来てくださっていた。

集合写真を撮り、いざ出発。まずは下田の街中を走る。下田線から136号への道は、歴史ある街並みを通り抜けながら、海を見ながら走れるルート。いつもは車で通っているトンネルも、自転車で側道を走ると新鮮な気持ちだ。

 

 

田牛海岸で伊豆半島の成り立ちを聞く

136号線から田牛の交差点を左折して龍宮窟方面へ。車の通行量も少なく、走りやすい。今日も観光客で賑わう龍宮窟を横目に、その先の田牛海水浴場の入り口へ。最初の休憩場所だ。サポートカーが先回りして待機していた。今回はなんと、伊豆急行さんとスルガ銀行さんの計2台のサポートカーが見守ってくれている。

必要最低限の荷物だけを身につけ、残りを運んでもらえるというのはありがたい。体力が続かない時は、サポートカーで移動も受けられるという安心感があると、自転車に乗り慣れていない人も参加しやすいのではなないだろうか。(10月のイベントの参加、お待ちしています!)

伊豆急行さんの用意してくれたスポーツ飲料で水分補給しながら、伊豆急おもしろ駅長で伊豆半島ジオパーク冒険団長の齋藤さんによるジオガイドに耳を傾ける。

伊豆半島は爪木崎を起点に西側に傾斜していて、竜宮窟もこの傾きがあるから海上に現れているそうだ。そしてその傾きを体感できるのが、今回通過する妻良の坂道であるとのこと。ただ走って気持ち良さを感じるのもいいが、こういうガイドを聞いてから走ると、景色も違って見える気がする。

休憩場所では写真を撮り、“#伊豆ぽたでサイクリング”、“#juzacycleyado”というタグをつけてSNSをアップすることになっている。おじさんたちが会話もそこそこに真剣に写真を撮影し、必死にSNSにアップしている様子は、少し滑稽な光景だったかもしれない。

 

 

山道も電動アシスト自転車で快調に

田牛を出発。竜宮窟の交差点に戻り、海とはしばしの別れ。山の中の道を進む。途中から坂がきつくなってきたが電動なので問題なし。頂上のトンネルは味があって非常に良い。トンネルの真ん中で下田と南伊豆に分かれているという。トンネル前あたりからどうもお尻が痛くなってきた。下りの道では漕がなくていいので、お尻をあげて保護(?)した。

電動自転車でのサイクリングは非常に快調で、南伊豆のかなり傾斜がある坂道も問題なく進む。自転車はケイデンス(自転車のペダルの1分あたりの回転数)を変えずに、坂がきつくなったらギアをチェンジして走るとよいとのこと。そんな自転車の基本的な知識も教えてもらえるのは初心者にとってはありがたい。

16号に突き当たったところの交差点は「日野(ひんの)」という。以前はこのあたりは海であったが、干上がって人が住むようなった。そのため「干野」と呼ばれたのが、当て字で現在は「日野」と書いて「ひんの」と呼ばれているそうだ。

 

 

「おか田」で金目鯛をいただく昼食

そんな日野の交差点を右折すると次の休憩場所、伊豆郷土割烹料理の店として有名な「おか田」が見えてくる。観光バスも停まる広い駐車場なので、自転車を七台でも安心して置ける。 奥の座敷席にて、磯魚のアラ煮定食をいただく。今日の魚は金目鯛。

お店の方におすすめされ、煮汁をご飯にかけて食べる。これはうまい! そして疲れた体に温かい海苔の味噌汁が染み渡る。サービスで柑橘系のゼリーまでいただき、お腹も心も満たされておか田を後にする。

 

 

海沿いを走り見須商店さんに寄り道

16号を南下して目指すは、「日本の渚百選」にも選ばれた白砂の美しい海岸、弓ヶ浜。海水浴客の姿も見え、砂浜には海の家や飲食店が建設途中。夏の盛りが近いことを感じさせる。

斎藤さんのジオガイドによると、弓ヶ浜はもともと大きな入り江だったという。そこに砂や土が青野川によって運ばれ、堆積した砂が海流によって弓状に広がる「砂嘴(さし)」という地形になったそうだ。現在住宅が立っているあたりは、砂嘴を埋め立てた土地らしい。

弓ヶ浜で記念撮影の後は、石廊崎へ向かう。この日の海は曇り空ゆえ写真のような海の色だが、晴れていると吸い込まれるような青さ。石廊崎に向けて走る海外沿いの道は景色もいいし、海風を受けながら自転車で走るのがとても気持ちがいい。

途中、石廊崎で80年以上ひじきを加工・販売している見須商店さんに急遽立ち寄ることに。お店のお母さんの面白トークもはずみ、黒蜜で味わう絶品のトコロテンをいただく。私はお土産に、もずくを購入した。ちなみにお店周辺の坂はかなり手強いので苦戦するかもと思ったが、ここも電気アシストのおかげでスイスイと走ることができた。

 

 

石廊崎オーシャンパークで夏気分

石廊崎オーシャンパークに到着! 自転車を置いて灯台に向かう。

通常は「石廊崎」という表記だが、海図に掲載される灯台の崎は土編の「埼」になる。その灯台に向かう途中のトイレの右側に、閉鎖されている道がある。この道はジオガイドの人の案内があれば行けるそうなのだが、その道の先では昔、東宝の「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」撮影が行われたそうだ。

ここにきて、足の疲労を感じる。オーシャンパークの建物に戻るための階段がきつい! 電動とはいえ、やはりかなり体力を消耗しているようだ。

センターハウス(休憩棟)では軽食や喫茶メニューが楽しめる。ここで伊豆最南端の青い海をイメージしたオーシャンソフトクリームを食べることに。10月31日まで行われている、JU-ZA Minamiizu RIDE(FREE RIDE)のチケットを使うと200円引きになる。「クーポン利用の方はスタッフに声がけ下さい」とあったが、実際は右側の事務局のような所に提出して使用した。

出発のときにスタッフの方にどこまでいくのか聞かれたので、「子浦まで」と答えたら、「JU-ZAね」と言ってくれた。少しずつJU-ZAのことが地元の方にも浸透しているのだろうか。嬉しい。

 

 

愛逢岬からヒリゾ浜を臨む

次に向かうのは愛逢岬。車だとオーシャンパークからすぐなのだが、遠く感じる。

岬から、本州一と言われる透明度の高い水質で、最近シュノーケリングスポットとして有名になったヒリゾ浜を眺める。環境保全のためにトイレも設置されていないので、用を足す時には船で戻らなくてはいけないらしい。毎年7月から9月の間だけ訪れることができる。

自転車で走る醍醐味は、肌で感じる自然。セミの大合唱がすごい。沼津や、伊豆のもっと北の方ではここまで大きく聴こえることはないらしい。そして、これまで知らなかったが、道沿いにはジオガイドの看板や、トレッキングコースの案内がいたるところにあることに気づいた。

中木を過ぎると直線の緩やかな坂道が続き、地味にしんどい。登り切って入間の手前あたりからやっと下り道になり、楽に走れるように。目指すは妻良港。差田交差点を左折して136号もどんどん下っていく。途中水分補給を挟んで、トンネルを抜け、妻良の下り坂を一気に走り抜ける。

 

 

妻良港から子浦へ 〜坂本龍馬に思いを巡らせる

妻良港からは子浦と日和山が見える。妻良湾は下田と対となる湾で、大きさでは下田湾に勝るらしい。沿岸の岩は縦筋のものは溶岩が冷えて固まったもの、横の層になっているものは火山灰が堆積したもの。そして同じ岩でも黄色みがかっているものは、“より温度が高かった=火山に近かった”ということらしい。非常に面白い地層らしいのだが、このエリアは死火山とされているので、研究の予算がおりない。研究者たちは伊豆大島などの活火山に行ってしまうとのこと。

個人的な興味があり、「坂本龍馬が子浦に来たのは本当か」と質問した。斎藤さんによると、勝海舟が将軍家茂の海路による上洛の際(文久3年)、風待ちのため子浦に来たという史実はあり、その船に坂本龍馬が乗っていたとされている。

しかし子浦の街に降り立ったのかどうかについて坂本龍馬については記載がないので、確実に「子浦に来た!」とは言えないという。資料に名前の記載がないのは当時龍馬が脱藩浪人として追われている身であったためだと思われる。当時遊郭もあり栄えていた子浦の街に龍馬が降りてこないわけがない、という後世の人の想像から、来たと言われているとのこと。なお、当時の遊郭の建物が今も残っているらしい。

ちなみにこの風待ちのとき、土佐藩の藩主山内容堂も子浦にいたため、勝海舟のとりなしで、龍馬は脱藩を赦免されたというエピソードもある。今は静かな子浦は、歴史的にはいろいろな役割を果たしてきた場所なのだ。

ちなみに南伊豆町で栽培している愛國米を原料にした地酒「身上起」には「龍馬にプレゼントしたかった酒」という厳封紙が貼られている。

いよいよ宿へと向かう。

子浦海岸に入り、郵便局前の通りの入口で自転車を降り、歩いて宿に向かう。1日走ってきた体に、最後宿の入り口までの坂が意外ときつい。

宿内に自転車を搬入して無事に今日の行程は終了。本日の走行は40km、獲得標高800m弱であった。

 

 

JU-ZAにてヨガと夕食で体も充電

JU-ZAのサイクルピットに自転車を置いてすぐ、「体が温まっている間にヨガをやった方が良い」ということで、デッキ部分でマットを敷き、宿守の吉田の指導でヨガを行った。走って疲れた体をヨガでケアするのはなかなか良さそうだ。そのうちにオプションとして入れるのも良いかもしれない。

JU-ZAではできるだけ地元に還元したいという理念から、通常夕食は提供しておらず、町内のお店の利用していただくようにご案内している。ただし、今回はイベント特別企画ということで、下賀茂の日帰り入浴もできる温泉宿、石廊館さんの板長さん特別弁当を用意した。お弁当の蓋を開けて、「おーっ」という歓声がいくつか上がっていたので喜んでいただけたのではないだろうか。またオプションとして下賀茂の山六水産さんの刺身も。その日に揚がった新鮮な地魚のお刺身盛り合わせは地元の人にも人気だ。

自販機でお酒を買い、飲みながらの夕食。ゆっくりみなさんと会話を交わす。一般参加のお二人に、今回の参加のきっかけや普段のサイクリストとしての話を聞いてみた。

関西在住のIさんはこのイベントの告知が雑誌に掲載されていて、伊豆を走ってみたいと思ったことと、イベントの内容を見て行きたいと思ったからとのこと。普段は30km〜40kmくらいの距離をのんびり走るのがお好きらしい。

静岡県在住のOさんは普段からスルガ銀行の自転車イベントに参加しているとのこと。年に2、3回は何かしらの自転車のイベントに参加していて、「富士いち」やしまなみ街道などにも走りにいくらしい。

普段は自転車で走っている方が電動自転車でポタリング(自転車で散歩するようにゆったり走ること)するのは物足りない気持ちになるのではと思ったが、「普段と景色の見え方も違うから楽しいですよ」と聞き安心する。ガイドの田代さんも普段は日に200km走ることもあるような人だが、「新鮮でした」と言っていた。

ただやはり普段から乗り慣れている人と、初心者との間に走りの差があることは、自転車のバッテリー残量に如実に表れていた。

私のバッテリーは15%なのに対して、Oさんは30%、Iさんはなんと60%! やはり脚力の違いと適切なギアチェンジができるかどうかが数字に現れるのだろうか。こうして一目で走りの差がわかるのは面白い。

 

 

7月11日
JU-ZAの朝食

昨日に続き朝から雨がぱらつく。残念ながら予定されていた落居集落の散策は中止になった。

チーズパンとプレーンのパン、そして南伊豆で採れた野菜を使った人参と甘薯のポタージュが今日の朝食。個人的にはチーズパンがとても美味しかった。何もつけなくてもそのままでいける。

JU-ZAの朝食がなぜスープなのかということについてはこちらの記事で。

 

 

ライドスタート、道の駅 下賀茂温泉湯の花へ

この雨だと走るのは無理そうだと一度は諦め、サポートカーに自転車や荷物を積み込んだ。ところが、雨が小降りになってきたので、もし行けるなら走りましょう!ということで予定より少し早いが出発することに。

妻良港からサイクリングスタート。 昨日からのお尻の痛みは改善されていないが、進むしかない。勾配10%の妻良の坂では途中立ち往生している車もあったが、我々はスムーズに進む。吉田のトンネルからは下り道なので、ノーストレスで道の駅 下賀茂温泉湯の花に到着。こちらの施設でもチケットが利用できる。Iさんは南伊豆産のところてんと宇治抹茶がたっぷりはいったソフトクリーム「ところ抹茶」を食べていた。少しでも湯の花を知ってもらおうといろいろと案内をする。

 

 

龍宮窟から下田駅へ

湯の花を出た後は、青野川沿いの遊歩道を川下へと進んだあと、今度は田牛海岸にむけて山の中を進む。さきほど妻良の坂を登った疲れがでているのか、トンネルまでの坂が本当にきつかった。個人的にはこの坂が一番大変だと感じた。雨上がりの湿気に満たされたトンネルを抜けると、そこからは爽快な下り道だ。あっという間に龍宮窟に到着した。

季節によって浜の状態が変わるらしく、夏に近づくと砂浜に、冬が近くなるとゴロゴロとした石が多くなってくるそうだ。写真でもわかる通り、岩には横に筋が走り、色は黄色っぽい。昨日の齋藤さんの説明にもあったが、火山灰の堆積が多く、火口が近かったことを示している。

龍宮窟を出発し、一路下田駅へ。雨が再び降ってくる。帰りは136号を下田までひたすら進む。消防署をすぎたあたりからの渋滞もあったが無事に皆怪我なく到着した。

最後の集合写真を撮り、解散。

今日の走行距離は25km、獲得標高500m。2日間で累計65km獲得標高1,300mを走った。

 

 

今回は伊豆急さんのレンタサイクル「伊豆ぽた」とJU-ZAで南伊豆の魅力を発信するための何かができないかと思っていたところ、スルガ銀行さんが力を貸してくださったことで実現したイベントです。

「いくら電動アシスト自転車とはいえ、自転車初心者の人が南伊豆の高低差のある道を走り切れるのだろうか?」「普段からロードバイクなど自転車を趣味として走っているサイクリストの方にとって、電動アシスト付きのスポーツタイプではない自転車でのサイクリングはどうなのか?」と若干の心配をしながら開催しました。

でも、実際走ってみたら、「アップダウンのある南伊豆も気持ちよく走れてしまうし、何より楽しい!」そんな感想をいただき、思い切って実現してよかったとほっとしています。

車では捉えられない景色、伊豆半島の凸凹をガイドと一緒に走って体感すること。体を潤すスイーツや美味しい食事にJU-ZAでの一泊。一夏の思い出として、心に残るイベントになっていれば嬉しいです。


伊豆ぽたで行く南伊豆サンクリングトリップ 2022 vol.2の様子はこちら

FacebookTwitterLine

〒415-0532 静岡県賀茂郡南伊豆町子浦1669

ご予約・お問い合わせはこちらから


PRESS ROOM